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PAシステムの構築と拡張

春はイベント事が多くなる季節です。

中には各々機材を持ち寄り、自作のステージでライブを開催するようなケースもあるかと思います。

PAを自分たちで執り行なうにはどんな機材を買ったらいいのか?

なんて詳細もなしに質問を受ける事は少なくありません。

対する回答は「予算による」「規模による」です。すみません。

では何を足がかりに発想させていけばよいのか。

今回は『最小限』から『拡張』する道筋で自分たちに必要なPAシステムを組み立ててみましょう。

『最小限のPAシステム』ということですので、ここはひとつ

みんな大好き『デパート屋上特設会場におけるヒーローショー!!』を例に挙げて話を進めましょう。

必要な回線は以下の通り。

1).司会のお姉さん(途中で怪獣に襲われる)用ナレーションマイク×1本

2).ヒーローのテーマ曲等SE出力用CDプレーヤー×1台

以上!

更にこれを立ち上げるPAシステム。

【マイク(CDプレーヤー)】

【ミキサー】

【パワーアンプ】

【スピーカー】

シンプル!!

しかしこれこそが2回線以上を必要とするすべてのPAシステムの基本型であり、最小限となります。

ここから必要に応じてシステムを拡張していきます。

その1.

お姉さんと寸劇を繰り広げるおちゃめで話好きな相棒が登場したり、

怪獣達を陰で操っている謎の宇宙人にも大人の対応で発言権を与える場合には

それぞれのキャラクターにマイクを用意してあげましょう。

使用するマイクの本数(回線数)が増えれば、それに見合った入力数を持つ大型のミキサーが当然必要となります。

その2.

大評判となったヒーローショー。

それに伴い開催される会場も広くなったもんだから怪獣達のテンションも上がっていきます。

それはつまり、より地球の平和が脅かされる自体に陥ってしまったという事を意味します。

これまでの戦いとは違い、遠巻きに眺めている子供達にも応援を求めなければなりませんから、

大音量を得る為、やはりこれまでよりも高出力のパワーアンプとそれに対応するスピーカーが必要になります。

その3.

万全を期すのであれば、お姉さんの「助けてヒーロー!!」の台詞回しの際に想定されるハウリングへのケアを考え、

ミキサーとパワーアンプの間にグライコをインサートするのもいいでしょう。

その4.

「フハハハww誰も助けになど来ぬわ^ - ^」と返す宇宙人の台詞にスペーシーな臨場感を加えたいのであれば、

ミキサーに空間系のエフェクターを立ち上げましょう。

その5.

やられ待ちの怪獣達は着ぐるみのせいできっと周りの音が聞きづらく、心細い思いを強いられていることでしょう。

もしコロガシやサイドフィル等を用意できるようであれば彼らへのモニター環境は劇的に改善されます。

するとSEに合わせた完璧なタイミングでヒーローの必殺パンチをもらう事ができるわけですから、

充実した怪獣らーいふを送れること請け合い。

とどめのなんちゃらビームをもらった後、何一つ思い残す事無く、心安らかにその使命を全うするのです。

このように“規模に応じて必要なシステムに拡張する”という風に考える事がPAプランを立てる上での

足がかりとなるのではないでしょうか。

補足ですが、以外と多いのがパワーアンプの存在を無視してしまうケースです。

家でCDを聞く時、例えばミニコンポ等の一体型オーディオシステムを使用している方の場合、

デッキ本体とスピーカーが直接一本のケーブルで接続されているだけなので、

そのイメージで直接CDプレーヤーやミキサーをスピーカーに繋げばと思われているように想定されます。

が、スピーカーを鳴らす為には必ずアンプが必要です。

民生用機器の多くは利便性を重要視し、『一台二役』のワードに代表されるような

オールインワン型の製品が人気も高く、広く流通しています。

上記のミニコンポも然り、【CDプレーヤー】【ミキサー】【パワーアンプ】の機能が全て本体に内蔵されているのです。

最近では現場で実際に使用されるPA機材にもミキサーにアンプを内蔵させたパワードミキサーや、

スピーカーに専用アンプを搭載させたパワードスピーカー、

はたまた様々なエフェクトを網羅し一台に集約させた機能を持たせたデジタルミキサー等が多く用いられています。

その何よりの恩恵は持ち運びの利便性です。

よりコンパクトなシステムを構築し、トランスポートに掛かる費用、労力の節約を図ることも

機材選択の上で重要なポイントとなるでしょう。