違いを知って確かな演奏力を身につけよう 賢い楽譜選びとは
クラシックピアノを弾くにあたり、楽譜選びは重要なポイントになります。
同じ曲でも数多くの出版社から様々な種類の物が販売されているので、迷ってしまう方も多いかと思います。
見やすさや価格だけではなく、楽譜を選ぶ際の見極めポイントのひとつとして「原典版」であるかそうでないかということが挙げられます。
原典版とは
作曲者の意図をできるだけ忠実に再現した楽譜。
作曲者が書いた楽譜そのまんまという意味ではありません。
だいぶ昔に作曲された曲は、現代のように音源が残っているわけでもないし、パソコンで見やすく編集された楽譜も残っていません。
一番はじめに作曲者が書いた自筆の楽譜。
作曲者自身も気がつかないような間違いがあったり、版を重ねる度に作曲者自身で加筆修正されるケースもあります。
編集者や作曲家の弟子が、きっと作曲者の意図する完成図はこうであろうという判断し、様々な情報や当時の資料をもとに統計立てて完成させたものが原典版なのです。
新しく発見された資料が見つかれば、それをもとにまた編集されます。
日々進化し続け、最終的に作曲者が完成させたかったものが常に研究されているのです。
ですので、原典版の信頼性は非常に高いです。
クラシック音楽を演奏するということは、作曲者の意図を忠実に再現することに意味があります。
そのためにも信頼性の高い楽譜を選ぶことは、演奏するにあたり最初の重要なポイントとも言えます。
がしかし!
原典版は価格が高いものが多く、解説が全て英語のもの、曲中のダイナミクスや指使い、細かいペダルの指示が極端に少ないので演奏しづらかったりするのです。(原典版の原則として、自筆の楽譜に書かれていないダイナミクスやフレージングは加筆しません。)
個人的に勉強するとなるとかなり難しい分野になりますし、この作曲者はこの出版社のものが良いといったこともあるので、きちんとした指導者のもと勉強するのがベストです。
原典版の有名な出版社ですと、パデレフスキ版、ヘンレ版、ウィーン原典版等があります。
URTEXTというのがドイツ語で原典版という意味です。
校訂版とは
全ての楽譜が原典版であるとは限りません。
後の演奏者や編集者が、演奏するにあたり、よりその楽曲に合ったフレージングやダイナミクス、指使いやペダルの指示を細かく加筆して出版されたものを「校訂版」と呼びます。
この版には校訂者の名前も一緒に記載されているのが一般的です。
後から足された指示と原典版との違いがわかりやすく記載されている楽譜も出版されるようになりました。
練習方法の一つとして、原典版と校訂版を見比べながら練習すれば、より一層楽曲への理解が深まり、確かな演奏ができることでしょう。
見やすさやページの振り分け方等も出版社によって違いがたくさんあるので、自分に合った一冊を色々探してみるのも楽しいのではないでしょうか。